オフショア法人における経済実体要件(BVIとベリーズにおける概要)

法人経済実体要件とは何か、なぜ実体が要求されるのか?
BEPS包摂的枠組みのサブボディーであるOECDの有害税制フォーラム(FHTP)では、今後のグローバルスタンダードの定義として、全ての法人は事業を行う国にて経済的実体持つことを定めました。これを経済的実体要件と言います。同フォーラム(FHPT)は、メンバー各国に対してBEPSプロジェクト行動5(有害税制)の監視管理機関になります。
経済実体要件の焦点は法人税を非課税にしているオフショア地域に当てられています。
欧州連合(EU)内の行動規範グループ(The Code of Conduct Group)では、グループの規範に反して自国内に設立されるオフショア法人(IBC)に対して有害税制の恩恵を与えている国を「非協力国」または「ブラックリスト」とし、規範にほぼ準拠しておりまた非準拠部分に対して何らかの努力を行っている国は「グレーリスト」、グループ規範に全て準拠している国は「ホワイトリスト」と定義しています。
今回の経済実体要件はこれに応じる形でオフショア地域の国々にて自主的に採用されました。オフショア地域の国々は「非協力国」としてラベル付けされるのを避けるために、自ら国内法にて経済実体要件を必要とするオフショア法人の概要を定めた形になります。
(*)BEPS:税源浸食および利益移転
分類(*)が必要な法人とは?
(*)経済実体要件に該当するか否かの分類
全ての法人です。全ての法人において経済実体要件の分類テストを的確に行い、分類結果を証明することが求められます。
経済実体要件分類テスト結果の責任者は?
各法人の取締役です。全ての法人取締役は、法人の経済実体分類を適切に行い、経済実体要件法に基づいた義務について理解する必要があります。各法人は設立国当局に実体分類結果証明を提出することが求められます。証明は正式に分類を文章化したもの、例えば役員決議書にどのような分類分析を行ったかを詳細に記載することになります。
経済実体要件を現地で満たす必要がある法人とは?
以下の事業を行っている法人は設立国現地にて経済実体要件が求められるます;
銀行業務
保険業務
ファンドマネージメント事業
融資及びリース業
航空運送事業
持ち株会社(ホールディング・カンパニー)
統括本部事業
配達及びサービスセンター事業
知的財産(IPビジネス)の保有(*)
(*)ベリーズでは2019年からベリーズで設立されるオフショア法人(Belie IBC)による知的財産の保有が禁止されました。(Act No.17として2019年に改正されたSection 5(4) of the International Business Companies Act, Chapter 270 of the Substantive Laws of Belize, Revised Edition 2011による)知的財産とはコピーライト、パテント(特許)、トレードマーク、ブランド、技術ノウハウなどを含む全ての無形資産が該当します。
分類テスト、3つの質問
当該法人の種類(タイプ)は経済実体要件に該当するか否か?
経済実体が求められる事業活動を行っているか?
設立国以外の国で税的居住法人か否か?
上記質問の1か2のいづれかの回答が「No」である場合、または3の回答が「Yes」に該当する法人は現地にて経済実体要件を求められません。
始めのステップ
ゼットランドでは経済実体要件を施行した国に法人を設立されたお客様に対して、経済実体要件関連サービスを提供しております。お客様へは以下の9つの質問にお答えいただきます。
当該法人の営利活動について
営利活動を管理している所在国について
年間売り上げ額
営利活動を行っているオフィス(活動場所、ご自宅でもOK)の所在国
主要顧客の所在国
主要サプライヤーの所在国
雇用者の所在国
雇用人数
当該法人の税務居住地と税務居住地認定を取得した日
持ち株会社(ホールディング・カンパニー)の場合
子会社の株保有以外に事業活動を行っていない法人は純持ち株会社とされ、法人登記国において適切に法人が管理されていること、適切な雇用と適切なオフィスがあれば現地にて経済実体要件を満たしているとされます。
(*)純持ち株会社の場合における「適切な雇用とオフィス」とは、単に現状通り、現地住所貸しと登記代理店のサービスを利用していれば通常は満たされます。詳細については弊社までお問い合わせください。
経済実体要件に該当する法人の事業の定義について
配達及びサービスセンター事業とは以下の主な業務を行っている場合になります;
物流や集配
ストックの保管
オーダー受注
コンサル業や他の管理サービス業の提供
統括本部とは;
経営に関する意思決定を行っている
関連会社の支出を行っている
関連会社の業務コーディネイト、管理を行っている
知的財産事業(IPビジネス)とは;
パテントやR&Dなどの知的財産を扱う事業
ブランドやトレードマーク、顧客データ、マーケティング、ブランディングや配給などの貿易以外の無形資産を扱っている
経済実体要件を満たす条件は以下の通りです
事業内容やその規模に合わせて、法人の経営と運営が法人登記国現地にて行われていること
法人登記現地にて、事業遂行能力資格を有する雇用者を雇うこと
法人登記現地にて経費などの支出があること
法人登記現地にて事業活動を行うオフィスがあること
知的財産などを扱う事業の場合は、関連機材などが法人登記現地にあること
経済実体要件(分類結果)報告提出期限
BVI:
2019年1月1日以前に設立されたBVI法人の「会計期間(1年)」の開始は2019年6月30日となります。経済実体要件の報告提出期限は、翌年2020年6月の30日から数えて6か月後になります。
2019年1月1日以降に設立されたBVI法人は、設立1年目を迎えた記念日から数えて6か月後が提出期限日となります。
報告は毎年発生します。
ベリーズ:
2020年1月1日以前に設立されたBVI法人の「会計期間(1年)」の開始は2020年4月30日となります。経済実体要件の報告提出期限は、翌年2021年4月の30日から数えて9か月後になります。
2020年1月1日以降に設立されたBVI法人は、設立1年目を迎えた記念日から数えて9か月後が提出期限日となります。
報告は毎年発生します。
法人が経済実体要件に該当する事業活動を行っていない場合はどうなるのか?
事業内容に関係なく全ての経済実体要件を実施している国に登録された法人は毎年、経済実体要件の分類結果の報告を現地代理店に行う義務が発生します。
ベリーズにおける留意事項について
ベリーズにおいては経済実体要件報告の開始に伴い、全てのベリーズ法人にて新しくTIN(Tax Identification Numbers)の取得が義務付けられました。ただしTINを取得したからといってその法人がベリーズにて課税されるとは限りません。TIN取得の目的はベリーズ税務当局による法人管理の便宜上の理由によります。
(*)TIN:法人マイナンバー
また今回、ベリーズの税法は大幅な見直し変更が行われ、ベリーズにで設立されたオフショア法人(Belize IBC)は今まではベリーズにて非課税扱いを受けていましたが、今回そのような税制優遇措置を廃止することになりました。2020年1月1日以降、全ての個人事業主、専門職、法人、パートナーシップにおいてベリーズ内外両方の源泉所得への法人税課税が開始されました。
この変更は、ベリーズにて設立された法人が他の国で税居住者登録をしていない限り、ベリーズにて「みなし税居住者」とされます。「みなし税居住者」が経済実体要件に当てはまる事業を行っていない場合、または法人所得が年間USD37,500以下の場合は非課税となり、法人所得確定申告書は「申告ナシ(Nil)」で提出します。USD37,500以上の法人所得があるが経済実体要件に当てはまる事業を行っていない法人(Non-Included entities)も税務免除の申請が可能ですが、他の国にて税務居住者登録を行っていることの証明が必要となります。
確定申告の提出期限は毎年3月末になります。2017年10月17日以前に設立されたベリーズ法人は、2020年年度決算分より始まり(確定申告提出期限は2022年3月)、それ以降に設立された法人の確定申告は2021年年度決算分より始まります。(確定申告提出期限は2021年9月)、
ゼットランドでは香港に拠点をおき、ベリーズやBVIやその他オフショア法人の設立や管理を行っております。ベリーズにおける新しく始まった経済実体要件の報告及び確定申告や納税に関するご相談は intray@zetland.biz までお気軽にお問合せ下さい。