オフショア法人における経済実体要件(Economic Substance Requirement)と欧州連合(EU)のブラックリストの更新について

(内容は、英語原文の記事が書かれた2020年4月時点のものです)
経済実体要件(Economic Substance Requirement)
欧州連合(EU)やその他の国際機関は「税的中立国」に対して従来より様々な新しいポリシーを課してきましたが、2018年に発表された欧州連合の政府間組織による「事業課税に関する行動規範チーム(Code of Conduct team)」の報告を受けて、イギリス領バージン諸島(BVI)、バミューダ諸島、バルバトス、マン島、ガンジー島、ジャージー島の非課税国または低税国とされる国々では、欧州連合(EU)によるブラックリストに載るのを避けるため、2018年末に経済実体要件の施行に踏み切りました。経済実体要件にて定めるルールは、OECD(経済協力機構)が定めた移転価格問題(BEPS)に沿って作られています。ルール詳細は現時点で検討されているさなかですが、最終的には欧州連合(EU)の期待に沿う形で完成する予定です。
では経済実体要件とは何か、またオフショア法人をお持ちの方は何に注意すればよいのでしょうか?
経済実体要件に関する法律における「実体(Substance)」の定義は事業の種類、法人管理(マネージメント)の実情、支配権、会社のオペレーション、オフィスの所在、そして経営判断方法まで多岐にわたります。また、どこまで実体が要求されるのかというのは事業によって異なり、オフショア法人が単なる持ち株会社である場合は要求される実態は厳しくなく、法人登記国に登記代理店を持つだけで実体要件がほぼクリアーできます。
一方で、IP(知的財産)事業に関しては厳しい実体要件が課せられます。知的財産の開発、使用、維持管理、保護などに対して登記国現地にオフィスを構え必要な人数を現地で雇用し、必要な有資格者を現地で揃えることが要求されます。オフショアの一つであるベリーズでは、さらに一歩進んで、現地におけるIP事業法人の設立自体を禁止しました。
したがって、オフショアにて設立された法人においては実体要件に該当する事業を行っているか否かをまず確認し、該当している場合にはどのような実体が要求されるかを的確に判定することが必要になります。
実体要件に当てはまる法人も当てはまらない法人も、いづれにしろ当てはまるか否かの報告(実体要件の報告)を現地に行う必要があり、これを怠ると罰則が発生します。
ゼットランドでは実体要件に関するサポートをしております。オフショア法人をお持ちの方は日本語で intray@zetland.biz までお問い合わせください。
欧州連合(EU)のブラックリスト
そして、2020年2月18日には、欧州連合は新たな国々を「税務面で非協力的な国・地域リスト(通称「ブラックリスト」)に追加しました。
ケイマン諸島、パラオ、セーシェルはグレイリストからブラックリスト入りし、パナマは新しくブラックリストに加えられました。
また、アルメニア、アンティグア・バーブーダ、バハマ、ベリーズ、イギリス領バージン諸島(BVI)、カーボベルデ、クック諸島、マーシャル諸島、モンテネグロ、セントクリストファーネイビス、ベトナムはブラックリストから外されました。
現在、欧州連合(EU)のブラックリストに載っているのは以下の国々です;
アメリカ領サモア
ケイマン諸島
フィージー
グアム諸島
オマーン
パラオ
パナマ
サモア
トリニダード・トバコ
アメリカ領バージン諸島
バヌアツ
セーシェル
ケイマン諸島に設立されるオフショア法人は投資ビークルとして利用されることが多いですが、欧州連合(EU)の見解によると、その投資ビークルとしてのケイマン法人に対する同国内の経済実体要件対応が適切でないと判断されました。
(2020年10月8日更新情報によると、ケイマン諸島はブラックリストから外されました)
パラオは税務目的の自動情報交換(AEOI)に加盟しておらず、またOCEDにおける多国間税務行政執行共助条約(OECD Multilateral Convention on Mutual Administrative Assistance)にも署名しておらず、現時点で問題解決に至っていません。
パナマは、税の透明性及び税務目的の情報交換(Transparency and Exchange of Information for Tax Purposes on Request)に関するグローバル・フォーラムにおいて規約を守っておらず、現時点で問題解決に至っていません。
セーシェルにおいては有害税制(harmful preferential tax)政策を取っており、現時点で問題解決に至っていません。
ゼットランドではオフショア法人の設立から管理、コンプライアンスに至るサービスを幅広く行っております。オフショア法人の経済実体要件に対する詳しいガイドラインについては以前のニュースレターでも取り上げていますため、そちらも合わせてご参考ください。
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(2020年10月現在)